正社員だからといって、単純に「勝ち組」とはいえない。「同じ労働には同じ賃金を」という均等待遇への要請か強まると、企業は、パートや契約社員との線引きをはっきりさせるため、就業規則などで、正社員は残業や転居を伴う転勤が義務づけられることを明確化する動きを強めた。その土台のうえに、業績や責任に応じた処遇を構築してきたのだったが、それが、ノルマや業績のさらなる追求とともに長時間過重労働を蔓延させてきた。しかもこれには残業代は支払わないとなれば、人件費の大幅な削減になる。
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長時間過重労働に関する相談は、業種や企業規模、労働者の年代を問わず増えている。生命保険会社に就職したばかりの娘が、「毎日朝早く出て行って終電車で帰ってくる、企業はいったいどんな仕事をさせているのか」といった心配や、惣菜売り場で正社員として働いている息子について「出社は九時で休憩一時間、退社時刻は八時半だが、一時帰宅するだけで食後夜九時半から深夜の二一時ないし一時まで働いている。休日は、年に三〜四日で健康が心配」といった訴えなど、家族の胸の痛みが伝わってくるような相談も少なくない。「毎日車両運搬の仕事で朝は九時から、夜は残業で一一時、一二時まで働いている」、「休日が月一回だけの長時間労働でうつ病になった。仕事が終わるまで帰してくれない。体調が悪く、自殺するのではないか心配」、「調理師で入社して七年正社員で働いているが、午前一一時から明け方三時まで毎日働き、休みは年に一二二日しかない夫のことが心配」など、家族は心配で心が安まらない状態だ。いずれのケースでも時間外手当はいっさい支給されていない。