雇用危機や雇用崩壊といった言葉がいよいよ切実な響きをもって迫っている。雇用の防波堤の役割を果たしてきたのが日本企業であれば、それは決壊の危機に瀕している。もう一段景気が低迷すれば、雇用は一気に流出し、大量失業となって溢れ出す、こうした悪夢が現実のものとなりつつある。このような状況を目のあたりにして、雇用に関して述べることは気の重いことである。現在の危機に対処する処方優が求められているのであれば、なるほど、日本経済の再生と題した書物は書店に溢れ、金融ビッグバンから雇用ビッグバンまで、ありとあらゆる処方箇が提示されている。
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バブルの崩壊のあと、日本経済の低迷とともに繰り出された議論はすべてがこうした類のものであった。その前提は日本型システムはもはや生き延びられないというものであった。しかし、この前提あるいは診断は、果して確かなのか。それ以上に、そこから繰り出されるのは、見事に同質の議論であった。「根本的改革」の議論であり、雇用に関しては、定着型の雇用を否定し、流動型の雇用を提唱するという、実に明快な改革の処方藻であった。これこそが市場原理に基づくシステムである、これによって個人の活力の発揮があり、経済全体の効率性の実現があるのだと、あっけらかんと述べられた。しかしその目論見は、ことごとく裏切られるもののようである。この結果が現在のますます深まる低迷であれば、「改革」の処方厘の無力こそを認識すべきである。